インドネシア赴任記録(バンドンより)

インドネシア バンドンに赴任。仕事や日常生活で気づいたことを織り交ぜながら赴任生活をつづっていきます。

インドネシアの出費事情

★1ヶ月いくら使う?★

 

 海外で生活するとなると、気になるのが生活費を始めとする支出

 インドネシアは物価が安いと聞くけど、みんな、毎月どのくらい使っているのだろう・・・?

 まず初めにお伝えしたいのは、出費額は、個人によってピンキリということです。

 どんな生活をするかで、1ヵ月に出ていくお金が随分変わります。特にインドネシアは格差が大きく、同じインドネシア人でも、裕福な人とそうでない人では、生活費にも大きな差が生じています。

 日本と同じような生活・・・毎日日本食を食べて、日本製の商品を買って、というような生活をするなら、恐らく、日本で暮らしていた時より高くつくでしょう。

 一方で、日々の食事はローカルスーパーか屋台、使うのはインドネシア製の安い商品、といった生活なら、月々の出費はぐんと低くなります。その代わり、QOLも下がる気がします・・・。

 前者でなければ生活できないという人もいれば、後者の生活の仕方で充分という人もいます。こればっかりは、個人の性質や慣れも関係してくると思いますので、自分に合った生活スタイルをつかんでいくことが大事です。無理してストレス溜めて身体を壊せば、結局、出費がかさむことになりかねません。

 

【目次】

0.そもそも駐在員の収入は?

1.食事にかかる費用

2.生活費

3.娯楽に使うお金

 

0.そもそも駐在員の収入は?

 出ていくお金を知る前に、入ってくるお金を確認しておきましょう。

 会社によって多少の違いはあると思いますが、駐在員の収入は、日本で受け取っていた基本給や役職手当に加えて、海外勤務手当・駐在手当と呼ばれるような手当がもらえることが一般的です。残業代は、筆者の会社の場合、みなし残業代として毎月一定額が支給されます。通勤は毎日ドライバーによる送り迎えになるため、通勤手当は0です。控除に関しては、社会保険料や所得税は日本にいた時と同様に控除されますが、住民税は、1月1日時点で海外にいるならその年の6月支給分から控除がなくなります。

 

 給料の振り込み先は、日本の口座と現地の口座に分かれています。どちらにどのくらい振り込むか、その配分方法は会社によりけりで、振り込み配分を選べるところもあれば、半強制的に決まっているところもあります。ちなみに筆者の場合は、駐在手当分は現地の口座にルピアで振り込まれ、その他の給料は日本の口座に円で振り込まれます。結婚して日本に家族を残した状態で単身赴任される方は、日本への振込額が多めになるよう調整される方もいます。

 

 個人差ありますが、海外駐在中の手取りは、日本にいた時の1.5倍ぐらいです。

 

 慣れない異国の地で、できるだけ心身の負担を軽減するため、不自由なく生活できるよう配慮された額になっていると思います。ただ、日本で働いていた時に残業が多かった人の場合、赴任してから手取りが減ったかもしれませんが・・・。

 

毎日の通勤は送り迎えでガソリン代、高速代いらず。

 

1.食事にかかる費用

 インドネシアで生活していて、最も大きく分かれるのが食費の使い方だと思います。ジャカルタやチカランには、美味しい日本食を食べれるお店も多数存在しますが、日本で食べるより高いところがほとんどです。特にイスラム圏では、お酒も高いです。輸入税が高いせいもありますが、宗教的にアルコールNGのせいか、地元の方ではなく、お金を持っていそうな外国人を狙った価格帯だからというのもあると思います。

 

 日本でも、毎日外食していると出費がかさみますよね。コンビニやスーパー等で弁当を買って食べれば少しは抑えられますが、日本のコンビニやスーパー並みのレベルではなく、同じ味だと飽きてしまいます。

 

 そこで次の一手が、自炊です。多くの日本食を扱っているPapayaというスーパーで買い物し、自炊されている駐在員も少なくないはず。炊き込みご飯の素を活用したり、パスタやうどんをゆでたりと、日本とあまり変わらない食事を、リーズナブルにできると思います。それでも日本食材は輸入税がかかるせいか、日本で買うより高いです。

 

 地元スーパーやPasar(市場)なら、もっと安く買えます。ただ、質は日本食より劣る可能性が高いです。味の好みもあるでしょう。どこで買う時も、買った野菜は水道水ではなく、ウォーターサーバーの水やペットボトルの水で洗って、しっかり火を通した方が良いです。果物を洗う時も同様です。

 

 Pasarはスーパーより安くて新鮮なものが手に入りやすいので、個人的には気に入っています。行くなら断然朝早いうちがお勧めです。夜明け頃から徐々に店が出始め、昼前には店じまいするところが多いです。

 ただ、Pasarで買い物をする際は、衛生面を始め、注意すべき点もあります。主な注意点を3つ挙げます。

 

 まずは、におい。鶏肉をその場で解体していたり、魚をさばいていたりと、生ものをたくさん扱う場ですので、様々なにおいが密集しています。ゴミもたくさん落ちていますし、ハエもたくさん飛び交っています。衛生的には決して良いとは言えません。気になる方は、せめてマスクを着用すれば、少しは緩和されるかと思います。

 反対に、良いにおいもあります。朝にPasarへ行くと、近くで、美味しそうな屋台の誘惑がないでしょうか。Nasi KuningやNasi Uduk、Buburなどのごはん系や、CakuweやGorenganなどのおやつ系など、前を通るだけで良いにおい・・・。朝ご飯を済ませてきても、お腹が空きそうです。安いので、ついで買いしてしまうことも多々あります。

 

 Pasarで買い物する際の2つ目の注意点が、金額です。当然、値札はありません。ただ、相場はある程度決まっています。気になるものがあれば、「Harganya berapa?」(ハルガニャ ブラパ?:いくら?)と聞いてみましょう。事前にインドネシアの数字を頭に入れておくことをお忘れなく。相手が外国人とわかると、たまに英語で回答してくれる人もいますが、たいていは、インドネシア語で返ってきます。インドネシアの数字を覚えておかないと、金額を聞き取るのに苦労します。また、ほとんどのものがRp 1,000以上ですので、Rp 25,000なら「ドゥアプル リマ リブ」(「リブ」が1000の意味)ですが、省略して「ドゥアプル リマ」もしくは「ドゥア リマ」と言われることも多いです。

 以下が、インドネシアの数字の読み方です。

 

1:サトゥ

2:ドゥア

3:ティガ

4:ウンパット

5:リマ

6:ウナム

7:トゥジュ

8:ドゥラパン

9:スンビラン

10:スプル

11:スブラス

12:ドゥアブラス

13:ティガブラス

14:ウンパットブラス

15:リマブラス

16:ウナムブラス

17:トゥジュブラス

18:ドゥラパンブラス

19:スンビランブラス

20:ドゥアプル

21:ドゥアプル サトゥ(「ドゥア サトゥ」)

22:ドゥアプル ドゥア(「ドゥア ドゥア」)

※「プル」は十の単位。31は「ティガプル サトゥ」。以後、同じ法則で読んでいく。

 

 筆者の場合、良い人に恵まれているのか、ぼったくられることはなかったですが、金額が聞き取れないと、たまにおつりを間違えて渡されることがあるので、損をしてしまうこともあります。また、同じ商品でも店によって金額が違うので、比較するのにも役立ちます。他のお客さんが金額を聞いたり支払いしたりする時に知ることもできます。

 逆に得をすることもあります。たくさん買えばおまけしてくれたり、おつりがないからと負けてくれたり。融通が利くのもPasarの良いところです。

 

 最後の注意点が、買い物バッグとお金の出し方です。

 最近は、スーパーやコンビニでもレジ袋が有料になり、店によってはエコバッグしか置いておらずエコバッグを購入しなければならないところも出てきました。筆者が行くPasarでは、まだ買ったものを黒いビニール袋(無料)に入れてくれます。ただ、お客さんは買い物かごを持ってこられている人が多く、袋代が有料になるか袋自体がなくなるかは時間の問題ではないかと思っています。

 

 お金の出し方というのは、Pasarでは、ポケットやバッグから、現金をそのまま(できれば言われた金額ちょうどか近い金額を)出した方が良い、ということ。筆者もこれ、前の駐在員から教わりました。あまりお金持ち感を出さない方が良いのだとか・・・。というのも、Pasarで買い物をするのは地元の方がメインで、はっきり言うと「裕福ではない人」がほとんど。お店側の人々もそうです。Pasarの価格帯が安いことからも想定できると思います。そんな中で、いかにもお金が入ってそうな高級財布を出して、10万ルピアを渡すのは、何となく場違いな気がしませんか?

 特に、支払金額が少額なのに渡すお金が大きいと、おつりがたくさん必要になり、お店の人がおつりを渡せず困ってしまう、という事態が発生することがあります。筆者も、以前たまたま10万ルピアしか持ち合わせがなく、お店の人はおつりがなく、近くにいた他のお店の人からおつりを工面するはめになりました。・・・いやいや、おつりを用意してない方が悪いでしょう、という方もいらっしゃるかもしれませんが、ほぼその日暮らしをしている彼らに、毎日のPasarで、充分なおつりを用意しとけと言うのも酷な気がします。以後、Pasarで買い物をする時は、極力小さいお札や小銭を持って行くことにしています。

 

 食費については、上記のようにPasarでの買い物メイン、自炊メインにしていると、1ヶ月1万円ぐらいに抑えられると思います。毎日外食、それも日本食でお酒付きだと、1日で1万円になることも・・・。とはいえ、あまり切り詰める生活も良くないと思いますので、日頃自炊をされる方は、例えば週末には美味しいレストランでちょっと贅沢に食事をするなど、メリハリ付けて自分にご褒美をあげる機会も作った方が良いです。

 筆者も、基本は自炊で買い物もPasarや地元スーパーで済ませるのですが、休日はおしゃれカフェで甘いものを食べたり珍しいインドネシア料理のお店を開拓したりしています。

 

Pasarには、種類豊富な果物が並んでいます。

 

2.生活費

 一口に生活費と言っても色々ありますが、駐在員の場合、会社が負担してくれる費用もたくさんあります。主なもので言えば、アパートの家賃、電気代、光熱費、水道代、インターネット代、といったところでしょうか。部屋の清掃も家賃込みになっているところが多いと思います。

 

 ランドリー(洗濯)代は、アパートによって条件が違います。筆者のところでは、週2回の引き取りと返却で、1ヶ月6㎏までは無料、それを超えればRp 6,000/kgとられます。自腹です・・・。毎日5枚まで無料、というアパートの話を聞くとうらやましくなりますが、そもそも無料制度自体がないところもあるそうですので、贅沢は言えないかなとも思っています。

 

 ウォーターサーバーについているガロンの交換も、自己負担です。筆者のところでは、19リットルのお水が入ったボトルを、2週間に1回ぐらいの頻度で交換して、1回の交換費用がRp 19,000。この価格は、職場のインドネシア人に聞いても安い方とのことです。ボトル自体を購入すると高くつくので、ボトル交換の方がお得です。

 

 インドネシアで使うスマホの基本料金は、会社が払ってくれます。

 

 後は日用品ですが、これも食費同様、日本製のものにこだわるなら日本より出費が高くなる可能性大ですが、インドネシア製のものであれば、比較的安価で購入できます。ヘアケア、化粧品、スキンケアといった製品は、インドネシア製の品質もなかなか。こちらの水は硬水ですので、インドネシア製の方が相性が良いこともあります。

 

 衣料品も、地元スーパーやPasarに行けば、Rp 50,000/着があって驚いてしまうかもしれません。もちろん、UniqloやPoloなど、日本でもおなじみのお店も見かけます。が、そういうところは高いので、日本で買った方がお得です。あまりにも安いローカル品はすぐにダメになりそうで不安だからと、結局、日本で調達する方も多いと思います。ただ、こちらでも、特にデニム製品や革製品など、リーズナブルながらしっかりした質の商品もあります。こういう情報は、地元のインドネシア人に聞いてみる方が確かでしょう。

 

インドネシアのユニクロは、富裕層向けです。

 

3.娯楽に使うお金

 インドネシア駐在員の大半が、休日になるとゴルフに勤しんでいる印象です。

 筆者は、ゴルフはしません。ですので、具体的な価格についてはあまり言及できませんが、ゴルフをされる方から聞いた話をお伝えします。

 ゴルフをされる方は、道具は日本から持ってこられます。こちらで買うと高いそうです。もしくは、前任者から道具を引き継ぐ方もいらっしゃいます。

 最近はプレー料金も高騰し、1回で1~2 jutaかかるそうです。ゴルフ場のメンバー会員になればお得料金でプレーできますが、そのゴルフ場でなければ有効ではないこと、元を取るために何度か通う必要があることを考えると、メンバー会員になるのがお得なのかどうか・・・。しょっちゅうゴルフをされる方ならともかく、ゴルフもするし他の趣味もあるという方、色々なゴルフ場でプレーしたい、という方は、メンバー会員の恩恵は受けにくいかもしれません。

 プレー料金とは別に、キャディさんのチップ代でRp 200,000が必要です。プレー中にボールを紛失すれば、次のプレーでまたボールを買い足して用意する必要があります。

 ゴルフをされる方は、月々の出費が相当なものになると考えられます。

 

 男性陣は、夕飯の後にカラオケを楽しむ方もいらっしゃるかもしれません。カラオケと言っても、家族や友人と歌って楽しむ純粋なファミリーカラオケではなく、若い女性が接待するようなカラオケです。時間ごとに料金は異なりますが、3時間で2 jutaぐらいかかるようです。お酒などのドリンクもついています。

 

 ジャカルタやチカランでは、日本人同士のコミュニティの場として、同じ趣味を持つ人同士等が集まるサークル活動もあります。せっかく同じインドネシアで生活する者同士、気が合う方とは積極的に交流を深めて、新しい人間関係を作っていきたいものです。ちなみにバンドンにもバンドン日本人会というものがありますが、ゴルフメイン、平均年齢高めです・・・。

 

 インドネシアは、たくさんの島々で成り立っています。観光地も各地に散らばっています。有名なのは、バリ島、ジョグジャカルタ辺りでしょうか。とはいえ、遠出の旅行となると連休が必要になります。インドネシアの長期連休は、年に1回のレバランの時ぐらいです。このタイミングで日本に一時帰国される方は、ますますチャンスがなくなります。祝日が運よく月曜や金曜になれば、三連休も見込めます。

 

 バリやジョグジャカルタならば、飛行機で1~2時間の距離です。日本から行くより断然安くて速いので、どうせなら駐在中に行っておきたいところです。LCCを使えば、ジャカルタ発着で、どちらも往復2万円もかかりません。

 

 ジャカルタ近郊に住まれている方は、日帰りでバンドンまで足を延ばしてみるのはいかがでしょう? バンドンは「インドネシアの軽井沢」「Paris Van Jawa」(ジャワのパリ)と呼ばれる程、気候が良くて食べ物がおいしく物価もジャカルタより安いです。週末になると、ジャカルタからバンドンへの旅行者であふれます。高速道路は、金曜夜のバンドン方面、日曜昼以降のジャカルタ方面は特に混むでしょう。

 バンドンは標高が高くて涼しいため、週末ゴルフで訪れる方もいらっしゃいます。ゴルフのコースは、ジャカルタ等に比べると難易度がやや高いそうです。

 ジャカルタ⇔バンドン間は、電車での移動もお勧めです。Kereta Apiを使えば、高いエグゼクティブクラスでも片道Rp 250,000ぐらいで、2時間40分ぐらいで着きます。車窓から見える景色も良いものです。

 

3時間弱なら気軽に電車の旅を楽しめます。

 

<まとめ>

・食費や生活費は個人の求める生活レベルによって差が激しい

・ゴルフやカラオケによる出費は大きい

・週末旅行も計画されてみては?