インドネシア赴任記録(バンドンより)

インドネシア バンドンに赴任。仕事や日常生活で気づいたことを織り交ぜながら赴任生活をつづっていきます。

インドネシアで働くメリット・デメリット

★生活や仕事への影響★

 

 インドネシアで働くとなると、生活環境言葉など不安を抱える人も多いはず。でもせっかく海外で働けるチャンス、どうせならその恩恵もしっかり受けたいところです。

 筆者の経験談を基に、インドネシアで働いて良かったと思う点、我慢しなければならないと思った点を挙げていきます。生活に関しては、会社などによって個人差が生じますので、筆者の例はあくまで一例として捉えていただければと思います。

 

【目次】

1.生活面のメリット

2.生活面のデメリット

3.仕事上のメリット

4.仕事上のデメリット

 

1.生活面のメリット

 インドネシアに限らないと思いますが、海外駐在すると会社からの手厚い保護を受けれます。まず、次に挙げる費用は会社負担のところが多いと思います。

 

<会社が負担する費用>

・アパートの家賃

・光熱費

・水道代

・アパートのインターネット代

・スマホの使用料金(業務で使用するスマホ分)

・通勤で使う車のガソリン代、高速道路代など(たいてい、ドライバー付きの車を手配してもらえる)

 

*以下の費用は、会社によっては自己負担の人も*

・ランドリー代(毎月〇㎏まで無料、1回〇枚まで無料など、制限付きで無料にしているところが多い)

・休日の移動に使う車のガソリン代、高速道路代など

・ウォーターサーバーのガロン交換費用

・朝食代(アパートによっては、併設のレストランでサービスで食べれる)

 

 日本でアパート暮らししたことのある方は、何か不具合があると、自分で大家さんに連絡されていたと思います。言葉が分からないこちらでは、まず会社の総務に相談するのが一般的です。アパートに限らず、スマホや車、困った時には総務が頼りです。

 

 ほとんどの会社では、駐在員は、毎月海外勤務手当を受け取ることでしょう。上記の費用を会社負担してくれるとなると、お金も貯まりやすいのでは?と考えますね。ただ、以下の記事で紹介した通り、お金を貯められるかどうかは、どんな生活をするかで大きく変わりますのでご注意を・・・。

 

 

2.生活面のデメリット

①衛生面

 インドネシアで生活するにあたり、切っても切り離せないのが衛生面の不安。水道水は、浄水器をつけてなければ絶対に飲めません。基本的に飲み水や料理に使う水は、ウォーターサーバーを利用します。うがいや、食べ物を洗う際にもウォーターサーバーを使う人もいます。

 また、道を歩けばそこかしこにゴミが落ちているのに気づくことでしょう。特にジャカルタは大気汚染指数が世界でもトップクラス・・・。コロナの規制緩和されても、悪い空気を吸いたくないという理由でマスクを手放せない方もいらっしゃるのでは?

 

 日々の食べ物にも注意が必要です。屋台の場合、食器を洗う水がバケツの汚い水だと、お腹を壊す可能性大です。持ち帰る方が無難でしょう。

 たまに、生野菜やフルーツを食べてお腹を壊す方もいらっしゃいます。これらも、洗う際の水が関係しています。ただでさえ揚げ物や炭水化物の多いこの国で、ビタミンが取りにくくなるのは悩ましいですね。とはいえ、そんなにしょっちゅうあたるわけではないです。筆者は1年以上生活していますが、未だにあたったことがありません。一方で、知り合いで、2~3度お腹を壊したという方もいらっしゃいますので、こればかりは運によるところが大きいかもしれませんね・・・。

 

②住環境

 アパート環境でいえば、電気がつかなくなったりネットがつながらなくなったりすることは日常茶飯事(?)です。そのうち、「ああ、またか」と思うようになることでしょう(笑)。何か壊れて修理を依頼しても、対応が遅れることも多々あります。「忘れてました」と平気で言われることもあります。

 

 もしょっちゅう出ます。よく悩まされるのが、アリとゴキブリ、ハエでしょうか。特にアリは、開封済みの食べ物を置いておくと、一晩で大量に発生し手が付けられない状態になります。一度開封した食べ物は、冷蔵庫で保管しましょう。日本からアリの殺虫剤(以下参照)を持ってこられる方もいらっしゃいます。ネットでも、よく効くと話題になっています。日本から持ってくるのを忘れた方は、現地でも対策品を購入できます。実際、筆者のアパートは、壁という壁に「Kapur Ajaib」というチョークを塗って、アリの侵入を防いでいます。このチョークは、アリを寄せ付けない効果があるもので、インドネシアのスーパー等で手に入ります。

 


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③交通事情

 渋滞も、インドネシア生活をする上で避けては通れない問題です。おびただしい数のバイクや車、我先にと進もうとするドライバーたち。高速道路もびゅんびゅん飛ばして他車を追い越し、ぶつかるぎりぎりでブレーキを踏むこともあるので、目を開いていると冷や冷やさせられてばかりかもしれません。

 車に酔いやすい方は、酔い止め必須です。インドネシアは整備されていない道路が多いので、どこもかしこも走る時の揺れが激しいことでしょう。

 

④サービス

 お店の対応は、日本並みのサービスを期待しないでおきましょう。確かにサービスが良いところもありますが、それは大体、富裕層向けの高級店。一般的なお店では、コンビニやショッピングモール、観光地も含めて、実に様々な店員に遭遇します。暇な時はスマホをいじっていたり、おつりを間違えたり、レストランでメニューを聞き間違えたり、違う料理を持ってきたり、注文自体を忘れたり・・・いちいち文句を言っていたらきりがないです。ストレスも溜まります。筆者は、「インドネシアだから」という諦めの心を持ってから、イライラが減りました(笑)。

 

⑤支出

 出費についていえば、日本並みの生活をしようとすると、どうしても高くなります。日本製品をはじめ、海外製品は輸入税の関係で、現地で買うと高くつきます。お店で日本の商品を見かけて、値札の金額にびっくりされた方もいらっしゃるはず。レストランでも、日本食は日本と同等もしくはそれ以上の価格です。こちらの物価基準から考えると、高級料理です。

 

 駐在員の中には、ゴルフをされる方も多いですが、インドネシアでのプレー代は年々上がってきており、1回で1~2 jutaするところも少なくありません。年会メンバーに入っていれば安くプレーできるところもありますが、場所が限られるので、取引先と色々なところを回られる方は、結局、そこのプレー代を負担することになります。

 

3.仕事上のメリット

①通勤

 ほとんどの会社では、ドライバー付きの車を手配してくれます。これは金銭面だけでなく、心身面でもありがたいです。通勤に1時間近くかかる人もいますが、行きと帰りに少しの睡眠をとることもできます。

 

②勤怠管理

 心理的な負担軽減として、勤怠管理が日本ほどうるさくないこともあります。駐在員の残業手当は、たいてい、みなし残業として支払われます。たくさん残業すると損ですが、1ヵ月の残業時間をみなし残業時間内に抑えられれば、お得です。残業時間が長くなっても残業代がかさむことはないので、日本で「残業代を減らせ」としょっちゅう言われていた人ほど、この心理的解放はありがたいのではないでしょうか。もちろん、残業は少ないに越したことはありませんが。

 

 また、有休取得についても、あまり細かくチェックされません。海外のカレンダーは日本のカレンダーとは異なり、現地で休みの日は当然駐在員も休日扱いになります。日本が休みではないからと言って、これで有休消化されるわけではありません。

 駐在員が有休をとるとしたら、体調不良か、連休作って旅行するか、ぐらいでしょうか。筆者のところでは、日本では年間有休取得日数をうるさく管理されていましたが、駐在員は管理が難しいと思われたのか、日本の目標日数に達していなくても何にも言われません。

 これは筆者の憶測ですが、駐在員は最低でも年に1回、会社負担で一時帰国ができるため、それで有休の代わりとみなされているのではないか・・・。有休取得の本来の目的は、業務から離れて心身リフレッシュすることだと思います。ただ、駐在員の中には、一時帰国中も日本の会社に寄って仕事をして、結局思っていたより休めなかったという方もいます。

 

③業務スキル

 駐在員は、スキルアップのチャンスが多く与えられていると思います。

 特に、マネジメント力。インドネシアに限らず、海外で働くと、日本で働いていた時より守備範囲が広くなる人が多いです。限られた人数で現地の会社を回していくので、複数部門を受け持ち、そのスタッフ達をマネジメントしていきます。

 筆者の会社で常々言われていたのが、「駐在員は自分がプレーヤーになってはならない。現地スタッフを育成指導し自立させていくのが駐在員の役目」という言葉。

 忙しいと、自分がやった方が早いと考え、つい手を出したくなると思います。特に言葉の壁もあり、難しいニュアンスを伝える手間を惜しんで、イレギュラー対応は日本人、スタッフにはルーティンのみ任せる、とするところも珍しくありません。

 これではスタッフの成長が難しくなります。日本人からの指示がないと動けない、言われたことのみ対応する・・・いつまで経っても、おんぶにだっこ状態です。確かに日系企業であれば、日本人同士のやり取りも入るため、完全に日本人が手を離すことはできないかもしれませんが、ある程度の業務はスタッフだけで回るようにしたいものです。

 

 守備範囲が広いと、日本で自分が携わったことのない業務に関わることもあると思います。実務の観点から言えば、スタッフの方がよく知っているかもしれません。スタッフから質問や相談を受けて、実務に関わることでわからなければ、日本の関連部門の方に問い合わせます。筆者の場合、自分が一度も経験したことのない部門まで管理するようになり、日本の担当者に色々と質問して、アドバイスをいただきました。日本のやり方を知ることはスタッフにとっても勉強になります。日本から聞いた話を分かりやすくかみ砕いてスタッフに伝える・・・日本との橋渡し、情報共有も、駐在員の役目だと感じました。

 

④日本人同士の繋がり

 関係会社の日本人とは、定期的にコミュニケーションをとって、パイプを強くしておくことをおすすめします。というのも、海外勤務されている方は、日本に帰任後、重要なポジションを任される可能性が高いからです。自分が日本に帰った時、関係会社で、同じ駐在員生活をされていた方がいらっしゃると、相談や情報交換をしやすくなります。限られた時間と場所で巡り合ったご縁は、大事にしたいものです。

 

⑤経営者的な視点

 会社によるかもしれませんが、特に中小企業になる程、会社の経営に関わる機会が増えてくると思います。日本にいた時は見えなかった会社の数字を俯瞰的に見れるようになり、まさに経営者的視点を持ちやすくなります。日本との定例会議、報告会議がある際は、その資料作成で現地会社の経営状況、日本の会社の経営状況も把握するようになるかもしれません。今まで一社員、一歯車として会社の一部の世界しか見えていなかった人にとっては、全体が見えると視野が広がり、個々のつながりが見えてきます。

 

4.仕事上のデメリット

①言葉の違い

 まず一番に思いつくのが、言葉の問題でしょう。日本語の話せるスタッフがいて、常にそのスタッフを介して会話できているから言葉には困らない・・・そんなところは稀だと思います。通常、スタッフとのやり取りは、インドネシア語もしくは英語でされている方がほとんどではないでしょうか。

 大卒スタッフなら、英語は難なくこなせて、コミュニケーションにも困らないと思います。ただ、やはり母語ではないので、すれ違いには注意が必要です。丁寧すぎるぐらい丁寧に、主語や目的語をきちんと入れること。直接話せる環境なら、紙に図解を描きながらイメージを伝えるという手もあります。

 全ての単語が分からなくても、何となくで返事して、後でトラブル発生することもあります。スタッフはきちんと伝えたつもりでも、日本人の返事がいい加減だと、スタッフからの信用も失いかねません。

 少しでも不明瞭な部分があれば、メールやチャットで文字を起こし、お互いGoogle翻訳等で確認しながら会話するという方法もあります。筆者は、難しい内容を伝える時や、細かいニュアンスを伝える時、英文メールをスタッフに送ります。日々の簡単な会話ややり取りは、インドネシア語を使っています。日本人が拙いインドネシア語を使っても、多少文法が間違っていても、母語であるせいか、文脈から日本人の言いたいことを読み取ってくれる確率が高い気がします。

 

②文化的な違い

 言葉の次に直面する壁が、文化や国民性の違いです。

 インドネシア人の特徴は、以下の記事でも紹介しています。

 

 もちろん、全てのインドネシア人が当てはまるとは限らず、あくまで「その傾向が強い」ということを念頭に入れていただければと思います。

 

 避けられないのが、宗教的な違い。お祈り時間や断食期間中の配慮は、業務効率にも影響します。ある程度は「仕方ない」こととして、寛容的に受け止める必要があります。

 

 まじめにきっちりとスケジュール通りにこなそうと躍起になる人ほど、ストレスが溜まりやすくなります。スケジュール遅れが当たり前になる感覚を持つのも危険ですが、遅れること前提のスケジュールを組んでいた方が、慌てることも少なくなりそうです。

 

 「危険予知」という言葉をご存知でしょうか?

 

 特に製造業や工事現場の方にはおなじみの言葉ではないかと思います。文字通り、あらかじめ危険なところを予測しその場所を洗い出し、事故を防ぐ対策を考えます。

 業務でも、危険予知が必要です。慣れてくれば、「こうなる可能性もあるのではないか」と、色々なトラブルパターンを想定でき、それに対する策を事前に考えておけます。インドネシアでトラブルを防ぐには、この危険予知能力をいかにうまく発動させるかだと思っています。

 

<まとめ>

・インドネシアで働く時には、メリットもデメリットもうまく活用し、ストレス溜めない生活を送ろう!

・「危険予知」能力を高めよう!